遠くの視力(以下、遠見視力)は?と聞かれればほとんどの方は答えられるでしょう。
けれど、近くの視力(以下、近見視力)は?と聞かれれば答えられない、もしくは質問の意味が分からない人の方が多いのではないでしょうか。
これまで学校や会社の健康診断で受けてきた視力検査はあくまでも目の持つ能力のうちの一部である遠見視力を測定するものに過ぎないのですが、「遠見視力が良い=目が良い」、「遠見視力が悪い=目が悪い」という風に一般的には考えられているのが現状です。
もちろん遠見視力も大事なのですが、実は近見視力もとても大事な能力となります。
それではこの近見視力とは何なのかというと、「目の中のレンズの厚みを調節して手元にピントを合わせた際の視力」を意味します。
年齢を重ねると老眼が始まって手元の細かい文字が見えづらくなりますが、これは近見視力が悪い状態になっていると言えます。
『老眼世代の人の話なら自分には関係ないかな…』と思った人もいるかもしれませんね。
ところが、この近見視力の良し悪しは老眼世代の人たちだけの問題ではありません。
さきほどの話にも出てきましたが、一般的な視力検査では近見視力は考慮対象外となっています。
なので、強い遠視などによって近見視力に問題があったとしても、遠見視力さえよければ問題なしと判定されてしまうことになります。(遠視については「眉間の辺りがイライラする」を参照ください)
そうなると、教科書が読みづらい・板書がしづらいなどの学習を行う上での問題が発生しても、『視力は問題がないのだから、やる気の問題だ』といった誤解をされてしまうことも珍しくありません。
このように若い世代にとっても大きな問題となりうるのが近見視力なのですが、まだまだ一般的にはこの言葉は知られていないのが現状です。
読書や勉強が嫌い、集中力が続かないというお子さんがいたら、まずは近見視力に問題がないかを確認するようにしてみてください。
本人のやる気ではどうにもならないことなのに誤解されてしまうと今後の学習意欲にも悪影響を及ぼしかねません。
こども達の可能性を潰さないためにも大人がしっかりと気を配ることが必要だと思います。