「在宅ワークで外部モニターを使うようになったら、なんだか見づらくて…」「遠近両用眼鏡をかけているのに、パソコン作業で疲れやすい」

そんなお悩みでまどかにお越しになった50代の男性のお客様。最初は「モニターの見づらさ」のご相談だったのですが、詳しく検査していく過程で、思いがけず「片目の抑制」という別の問題も発見されました。結果的に、モニターの見づらさと見落としの両方が劇的に改善した実例を今回は詳しくご紹介します。

「外部モニターが見づらい」在宅ワーク時代の新たな悩み

遠近両用なのになぜ?お客様の困りごと

今回のお客様は、50代の会社員の方。数年前から遠近両用眼鏡を愛用され、普段の生活では特に不便を感じていませんでした。

ところが、在宅ワークが増えて外部モニターを使うようになってから、こんな問題が起きるように:

  • 外部モニターの文字がぼやけて見づらい
  • 無意識に顎を上げてモニターを見ている
  • 長時間のパソコン作業で首や肩が凝る
  • 夕方になると特に見づらさが増す

「遠近両用を使っているのに、なんでパソコンが見づらいんでしょう?」そんな疑問を持ってご相談にいらっしゃいました。

遠近両用の「落とし穴」発見

お話を詳しく伺うと、問題の原因が見えてきました。目線の高さに外部モニターがあったため、遠近両用の「遠用部分」を使って近い距離(50~70cm)のモニターを見ていたんです。

遠近両用眼鏡は、レンズの上部が「遠用」、下部が「近用」という設計。目線の高さにモニターがあると、遠くを見るための度数で近くのモニターを見ることになり、当然見づらくなってしまいます。それを回避しようと近用の部分で見るために無意識に顎を上げていました。これが、お客様の疲労や見づらさの大きな原因だったんですね。

近々両用で解決!でも測定中にまさかの発見が…

作業環境に最適化した「近々両用」への変更

この問題を解決するため、遠近両用から「近々両用」への変更をご提案しました。近々両用を使うことで、正面を見たときにモニターが見やすい度数が来るようにし、目線を下げた際にスマートフォンなどが見やすい度数設定にすることができます。

具体的には:

  • 正面の視線が通る箇所: モニター(50~70cm)が快適に見える度数
  • 目線を下げた際に視線が通る箇所: スマートフォンや書類(30~40cm)が楽に見える度数
  • 視野の広さ: デスク全体をカバーする視野を確保する設計

この設計により、自然な姿勢でモニターがクリアに見え、疲労も大幅に軽減されます。

測定の流れで発見!無自覚の「左目抑制」

近々両用の度数を決めるための測定をする流れで、「自覚のない」抑制が見つかりました。お客様ご自身は全く気づいていませんでしたが、精密検査により左目からの情報が十分に活用されていないことが判明したんです。

「抑制」とは、目は正常に開いていて、網膜にもしっかりと像が映っているのに、脳がその情報を使わなくなってしまっている状態のことです。

改めてお話を聞いてみると:

  • 探し物をしているとき、左側にあるものが気づきにくい
  • 車の運転で、左からの歩行者の発見がやや遅れがち
  • 何となく視野が狭くなっているような気がした

このように左目の抑制が原因と思われる自覚症状がいくつもありました。

一石二鳥の解決策!近々両用+抑制改善で快適に

微細な調整で両方の問題を同時解決

このお客様には、近々両用の設計に加えて、左右の見え方のバランスを整えるための調整も組み込みました。

  • 近々両用設計: モニターからスマホまでの作業域を最適化
  • 両眼の度数バランスの最適化
  • プリズム補正によるで左右の目の協調をサポート

眼鏡を装用していただいたところ、「モニターがこんなにクリアに見えるなんて!」「視野を広くとれるようになった気がします!」と、その場で驚きと喜びの声をいただきました。

また、見え方の改善効果を高めるために、眼鏡で左右の見え方のバランスを整えるだけでなく、両目をバランスよく使えるようになるトレーニング方法もお伝えしました。

「作業効率が別次元に!」お客様の嬉しい変化

モニター作業も見落としも同時に改善

近々両用眼鏡とビジョントレーニングを始めて数週間後、お客様から嬉しいご報告をいただきました。

「まず、モニターの見やすさが別次元です!長時間作業しても疲れにくくなって、首や肩の凝りも軽減されました。スマホとの切り替えもスムーズで、作業効率が格段に上がりました。

そして驚いたのが、探し物をしているとき左側のものにも自然に気づくようになったこと。運転でも、左からの歩行者に早く気づけるようになって、安心感が全然違います。一つの相談で、こんなに多くの問題が解決するなんて思いませんでした!」

じっくりとお客様に向き合うことでより快適な眼鏡づくりを

眼鏡をお仕立てするうえでお客様のご要望はとても重要なものです。ただ、このお客様のように、ご本人の自覚がないところにも問題が隠れていることが珍しくありません。当店では、お客様の総合的な「見え方の質」を向上させるため、お話をじっくりと伺ったうえでさまざまな角度から測定・分析を行っています。

こんなお悩みがあれば、まずはご相談ください

パソコン作業関連:

  • 外部モニターが見づらい、疲れやすい
  • モニターを見るとき無意識に顎を上げてしまう
  • 長時間作業後の首・肩の凝りがひどい

見落とし・視野関連:

  • 探し物がすぐ近くにあっても気づきにくい
  • 運転中、片側からの歩行者や車両の発見が遅れがち
  • 何となく片側の視野が狭くなった感じがする
  • 視力は問題ないのに、見落としが増えた

このような症状は、レンズ度数の最適化や両眼視機能の改善で解決できる可能性があります。

ただし、以下の場合は、まず眼科での精密検査をお勧めします。

  • 急激な視野の変化や見落としの増加
  • 片側のまぶたの下垂、複視(二重に見える)
  • 強い頭痛、眼痛、吐き気を伴う

一つのお悩みから、思いがけず複数の問題が解決することもあります。「最近パソコンが見づらいな」「なんとなく見落としが多いな」と感じることがあれば、お気軽にご相談ください。あなたの「見え方の質」を総合的に向上させるお手伝いをさせていただきます。