先日いらしたK様は遠くが少し見づらくなったということで来店されました。
現在使用している眼鏡は数年前に購入したものということで、経年変化により度が進んだのだろうと思っていたのですが…。
まずは使用中のメガネ(中度の近視)をかけた状態の視力を測ると、なんと両目で1.0という結果になりました。
視力としては決して悪いものではありません。
そこで、この結果を踏まえてもう少し詳しくお話を聞くと、常に遠くが見づらい訳ではないとのこと。
長時間パソコン作業などを行った際にパッと遠くを見ようとするとぼやけた視界となり、徐々にピントが合ってくるがそれがストレスになっているということでした。
このK様のように近距離作業を長時間行ったあとに遠くにピントが合いづらくなる現象を「ピントフリーズ現象」と呼びます。
近くを見るためにはピントを調節する筋肉を緊張させる必要があるのですが、あまりに酷使をすると目の筋肉が凝り固まってしまうのです。(不自然な体勢でいると肩などの筋肉が凝り固まるのと同じですね)
その状態で遠くを見ようとしても、ピントを調節する筋肉が上手く働かないため、パッとクリアな視界で見ることはできなくなってしまいます。
K様には疲労の自覚は特になかったのですが、上述の説明をしたうえでピント調節する際にどれだけの負担がかかっているかを体感してもらい納得して頂きました。
続く検査では大きめの視線ズレ(外斜位)も見つかります。
さらに眼球運動も苦手であることが分かったため、視線のズレを補正する度数を入れることに。(外斜位の人は近くを見る際の寄り目運動に負担がかかりやすいのですが、その負担を軽減することを狙いとしています)
近視の度数は近くの見やすさと遠くの見やすさのどちらを重視するかを相談したうえで、今回はやや度数を弱めてこれまでよりかは近くを重視する処方としました。
遠くの視力を維持しつつもこれまでよりも近見時のピント調節と眼球運動の負担を抑えるようにしたこの眼鏡でK様の困り事が軽減されることを願っております。
この事例のようにピントの切り替えが上手くできてない場合は、あなたもピントフリーズ現象が起きているのかもしれません。
気になることがありましたら、いつでも相談お待ちしています!