「昔から見ている景色が全て絵のように平面に見えた。それを周りの人に言っても理解してもらえない。運転をしていても距離感がつかみにくい。キャッチボールも苦手。でも視力はとても良くて、余計に周りからは不思議がられる。」
そんな長年の深刻な悩みを抱えてまどかにお越しになったお客様がいらっしゃいました。詳しく検査してみると、視力が良好であるがゆえに見過ごされてきた、複雑な両眼視機能の問題が隠れていました。そして、適切な矯正とトレーニングにより、「立体的な世界」を体験する感動的な瞬間が訪れたんです。今回は、その実例をご紹介しますね。
「世界が平面に見える」誰にも理解されない孤独な悩み
視力が良いゆえの孤立感
今回のお客様は、昔からこんな不思議で深刻な症状を抱えて生きてきました。
- 見ている景色が全て絵のように平面に見える
- 立体感がなく、まるで書き割りの舞台セットのような世界
- 運転をしていても距離感がつかみにくい
- 階段の段差や物との距離感に自信が持てない
そして最も辛かったのは、視力はとても良くて、余計に周りからは不思議がられることでした。
「視力検査では1.5も見えるのに、なんで距離感がつかめないの?」 「見えているはずなのに、球技ができないなんておかしい」 「気のせいじゃない?」
視力が良いからこそ、誰にも信じてもらえない。この孤独感と、「自分の目はどこか変なんじゃないか」という不安を、長年抱え続けていらっしゃいました。
「見える」と「立体的に見える」は別の能力
ここで大切なのは、「視力」と「立体感・距離感」は全く別の能力だということです。
- 視力: どれくらい細かいものが見えるか
- 立体視: 両目を協調させて奥行きや距離感を感じる能力
この「両目のチームワーク」がうまく働かないと、視力そのものは良くても、世界が平面的に感じられたり、距離感がつかみにくくなってしまうことがあります。
精密な測定で見えてきた3つの根本原因
原因1:乱視の矯正不足による微妙な距離感の狂い
まどかで詳しい測定を行った結果、確かに視力は良好でした。一般的な視力検査では「何の問題もない目」と判断されるレベルです。
しかし、詳しく調べると、乱視の矯正が足りておらず、微妙な距離感の狂いが生じていることが分かりました。
乱視と立体視の関係は以下の通りです。
- 乱視があると、焦点が眼の中でひとつに結ばれなくなりブレが生じる
- このブレが、両目で見たときの「奥行き情報」を不正確にする
- 結果として、視力は出ていても、「精密な立体感」が得られない状態になってしまう
原因2:外眼筋の弱さと輻輳(寄り目)の困難
量は少ないものの外斜位(隠れた視線のズレで、目を閉じると少し外側に視線がズレる)を持っており、それを補正する外眼筋の働きが弱く、輻輳(寄り目)も苦手であることが分かりました。
何が起きているか:
- 外斜位:視線が外側にずれやすい傾向(軽度)
- 外眼筋の弱さ:それを補正する筋肉の力が不十分
- 輻輳不全:目を内側に寄せる動きが極端に苦手
離れたところから自分のいるところに近づいてくるものを両目で上手く追うことが難しい。これが、キャッチボールのボールや、運転での対向車との距離感がつかめない直接的な原因でした。
原因3:脳が選んだ最終手段「抑制(片目だけで見る癖)」
そして、最も大きな影響を与えているのは抑制が起きている点でした。
視線合わせが上手くいかず、そのことが以下のように影響して両目で見ることを諦めて片目だけで見るクセ(抑制)がついてしまっていたのです。
- 両目で見ようとしても、うまく協調できない
- 脳が「混乱するくらいなら片目だけで見よう」と判断
- 無意識に片方の目からの情報を使わなくなる
- 結果として、立体視(両眼視)が完全に機能しなくなる
これが、「世界が絵のように平面に見える」最大の原因だったんです。
レンズ矯正とトレーニングで「立体的な世界」への扉が開く
アプローチ1:適切な乱視矯正で土台を整える
まず、両眼視機能を回復するための土台として、適切な乱視矯正を行いました。
- 目の中で焦点を結ぶようにする
- 左右の目の情報の「質」を揃える
- 脳が立体情報を処理しやすい環境を整備
これにより、両眼視機能を改善するための「土台」ができました。
アプローチ2:画期的な両眼視トレーニング
そして、最も重要なのが両眼視機能を回復させるトレーニングです。
測定結果を踏まえた以下のような矯正トレーニングを試したところ短時間でも改善の兆しが見られたので、レンズでの矯正だけでなく、トレーニングも並行して行うことを勧めました。
- 輻輳強化練習: ペン先を近づけて両目を寄せる力を鍛える
- 追従運動訓練: 近づいてくる物体を両目で追う練習
- 融像訓練: 両目の情報を一つに統合する練習
- 抑制除去トレーニング: 片目だけで見る癖を改善
継続的なサポートで「新しい世界」を定着させる
まだ始まったばかり、でも希望の光
短時間のトレーニングで改善の兆しが見えたことは、大きな希望です。ただし、長年の癖を完全に改善するには、継続的な取り組みが必要です。
- 自宅でできるビジョントレーニングの継続
- 段階的な難易度アップ
- 日常生活での両眼視の意識づけ
「理解されなかった」から「希望が見えた」へ
今回の事例で最も感動的だったのは、お客様の表情の変化でした。
「長年、誰にも理解してもらえなかった悩みに、ちゃんと原因があったんですね。そして、改善できる可能性があるなんて…本当に嬉しいです。これからトレーニングを取り組んでいきたいと思います!」
誰にも理解されなかった孤独な悩みが、専門的な測定により明らかになり、改善への道筋が見えた瞬間でした。
まどかの専門的な測定で「見えない問題」を可視化
視力検査だけでは分からない両眼視機能の評価
今回のような問題は、一般的な視力測定では発見することが難しい事例でした。
当店では一般的な測定内容に加えて以下も実施することで、「視力は良いのに何かおかしい」の正体を明らかにします。
- 立体視検査: 両眼視機能の精密評価
- 眼位測定: 隠れた視線のズレを検出
- 輻輳・開散検査: 目を寄せる・離す力の測定
- 追従運動評価: 動くものを追う能力のチェック
- 抑制検査: 片目だけで見る癖の発見
両眼視機能の問題は、レンズだけでは解決しないことも多いです。
一人ひとりの状態に合わせた、オーダーメイドのサポートを提供おりますので、お気軽にご相談ください。


