「遠視」と「老眼」。
名前を聞いたことはあっても、その違いを正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。
『え?同じなんじゃないの??』
なんて声も聞こえてきそうですね。
この2つは、
- 症状としては近くが見づらいこと
- 矯正する際のレンズが凸レンズであること
といった共通点があります。
そのため混同されることもしばしば起きるのですが、実はその中身はまるで違うものなのです。
では何が一体違うのか??
それを理解するためにも、それぞれの状態について詳しく見ていきたいと思います!
遠視とは
無限遠(限りなく遠いこと。数百メートル先の景色だと思ってもらえればOKです)を見ているときに、以下のイメージ図のようにピントが網膜よりも後ろで結ばれてしまう状態です。
出典:東海光学株式会社HP
ハッキリと物を見るには網膜上にピントが結ばれることが必要であるため、このままでは見た物がぼやけてしまいます。
そこで、脳は水晶体(眼の中にあるレンズ。毛様体筋という筋肉で厚みを変えることができる。)を働かせることで、後ろにずれたピントを網膜上にまで持ってくるのです。(ボヤけた映像を嫌う脳はこれを自動で行ってくれるのですが、凄いですよね)
ちなみに、網膜よりも前にずれたピント(近視の状態ですね)を後ろにずらすことはできません。それを行うには眼鏡をかけるか、目標物に近づく必要があります。
話が少し脱線しましたが、このように水晶体の働きのおかげで、よほど強度でない限りは遠視であってもハッキリと物を見ることができます。
ただし、眼を開けている間はずっと毛様体筋(水晶体の厚みをコントロールする筋肉)が頑張っている状態であるため、自覚の有無にかかわらず負担がかかっている状態なんです。(対象物が近いほどに負担は増していきます。)
網膜よりもピントが元々後ろにズレている(これを屈折異常と言います)ことが原因で、ピント調節(特に近くを見る時)に負担がかかるのが遠視だと理解してもらえればと思います。
老眼とは
遠くにある対象物を見ているときは、ピント調節の負担が発生することはなく毛様体筋はリラックスしている状態になっています。(遠視は除きます)
しかし、対象物が近くにある場合はその分ピントが網膜よりも後ろにズレてしまうんですね。
もちろんそのままではボヤけた映像になってしまうため、脳は自動でピントを合わせるように水晶体の厚みを変えてくれるのですが、加齢によりこの機能が衰えてくるのが老眼です。
ピントの調節機能の衰えが原因で近くが見づらくなると言うことですね。(これを調節異常と言います。)
まとめ
このように表面上は似たような症状になるのですが、その原因は大きく異なるのです。
ちなみに遠視の人が老眼になるとダブルパンチ(屈折異常+調節以上)で近くが見えづらくなってしまいます。
無理をしていると以下のような症状が出てくる場合があるためご注意くださいね!
- 肩や首のこり
- 頭痛
- 眼精疲労
- 吐き気