「視力検査ではいつも『問題なし』って言われるんだけど、どうもスッキリしない…」「デスクワークはそれほど疲れないのに、運転になるとやけに目がつらくなる」「プロジェクターで映された資料の文字が微妙にダブって見えて、集中できない」
そんな不思議な見づらさを、長年抱えていらっしゃる方はいませんか?先日、まどかにお越しになったお客様も、まさにそんな悩みを抱えていらっしゃいました。詳しい検査の結果、「内斜位」という視線のズレが原因だったことが判明。しかも6プリズムという大きなズレで、特に遠距離で相当つらい思いをされていたことが分かりました。今回は、その実例とともに、内斜位の特徴について詳しくお話ししますね。
「デスクワークは平気なのに運転がつらい」不思議な症状
距離によって変わる見づらさの謎
今回ご紹介するお客様は、30代の会社員の方。健康診断の視力検査では毎回1.0以上出ていたため、「目は良いはず」と思っていらっしゃいました。
でも、こんな不思議な症状にずっと悩まされていました:
- デスクワークや読書: それほど疲れない、比較的快適
- 運転中: 遠くの看板や標識がダブって見える、目の奥が重だるい
- 長距離運転後: 頭痛まで起こる
「運転がこんなにつらいのに、パソコン作業は平気なんて変ですよね?家族にも『気のせいじゃない?』って言われて…でも確実に何かあるんです」そんな風におっしゃっていて、誰にも理解してもらえない辛さがひしひしと伝わってきました。
一般的な検査では見過ごされがち
このような「距離によって変わる見づらさ」は、一般的な視力検査では見過ごされがちです。片目ずつ遠くの文字をどれだけ見えるか測る検査では、両目のチームワークや微妙な視線のズレまでは分からないんです。
そのため、「視力は良いから大丈夫ですよ」と言われ、ご自身でも「気のせいかな」と納得しようとしてしまう…。でも、その「なんとなく」の違和感こそ、大切なサインだったりするんですよ。
精密検査で判明!内斜位の特徴的なメカニズム
内斜位って何?なぜ距離で症状が変わるの?
まどかで行う精密な両眼視機能検査の結果、このお客様の見づらさの原因は「内斜位」であることが判明しました。
内斜位とは、両目の視線が内側(鼻側)にずれている状態のこと。実は、内斜位の場合は視線を内側に寄せた状態がリラックスゾーンなんです。そのため、寄り眼が必要となる近距離での作業(パソコンなど)は比較的疲労感を感じにくいという特徴があります。
一方で遠距離のものを見ようとすると、頑張って目を外向きに開かなければならないので、特に運転などで大きな疲労感やダブりを感じやすいんです。
さらに重要なのが筋肉の力の差です。内向きにずれた眼球を外向きに動かす筋肉は、外向きにずれた眼球を内向きに動かす筋肉に比べて力がかなり弱いため、内斜位の方は常に弱い筋肉で「頑張って」視線を合わせ続けなければならない状態。この無意識の「頑張り」が、特に遠距離で大きな負担となってしまうんですね。
6プリズムという大きなズレが判明
詳細な測定の結果、このお客様の場合は6プリズムという大きなズレがあることが分かりました。
当店では、必要に応じて以下のような詳細な両眼視機能検査を行います:
- カバーテスト: 片目を隠して視線のズレを直接観察
- 眼位測定: マドックスロッドや偏光フィルターを使った精密測定
- 遠方・近方両方での測定: 距離による症状の変化を確認
6プリズムという数値は、内斜位としてはかなり大きなズレです。内斜位でこれだけずれていると、特に遠距離で相当辛かったはずなのに、誰にも理解してもらえなかったのは本当に大変だったと思います。見え方の確認用フレームでプリズムを入れて見ていただくと、「遠くの文字の輪郭がピタッと合う!」「遠くを見る際に感じていた目の筋肉が突っ張った感じがなくなった!」と、その瞬間から違いを感じていただけました。
お客様の嬉しい変化
プリズムレンズの眼鏡をお作りして数週間後、嬉しいご報告をいただきました。
「運転が本当に楽になりました!長距離運転など遠くを見る時間が長かった日はその後の頭痛がひどかったんですが、今は全然違います。対向車との距離感もつかみやすくなって、運転に対する不安がなくなりました。もっと早く相談すればよかったです!」
長年の不快感から解放され、安全で快適な毎日を送られているご様子に、私たちも本当に嬉しくなりました。
こんな症状があれば、まずはご相談ください
改めて振り返ってみると、あなたもこんな症状に心当たりはありませんか?
- 視力は問題ないのに、運転中に遠くの看板や標識がダブって見える
- 長距離運転後の目の疲れや頭痛がひどい
- でも、パソコン作業や読書はそれほど疲れない
- 対向車との距離感がつかみにくい
- 夕方になると全体的に見づらさが増す
- 片目で見ると楽、両目だと落ち着かない
このような「距離によって変わる見づらさ」は、もしかしたら内斜位が原因かもしれません。特に内斜位は遠距離で症状が強く出やすく、運転時の安全性にも関わる重要な問題です。
ただし、急に二重が出た場合や、日に日に悪化する場合、片側のまぶたが下がる、眼痛・強い頭痛・吐き気がある場合は、まず眼科での精密検査をお勧めします。
「気のせいかもしれない」「大げさかもしれない」と思わず、その違和感を大切にしてください。特に運転に関わる見づらさは、安全性の観点からも早めの対策が重要です。一緒にその原因を探って、快適で安全な見え方を取り戻しましょう。